あなたは「難民」について語れますか?難民問題と国際社会の取り組み

コンフロントワールドでは、南スーダンの武力紛争により居住地を離れることを余儀なくされた難民の問題解決に取り組んでいます。今回は、南スーダン難民を中心に、難民を取り巻く問題や国際社会の取り組みについて解説していきます。

 

 

2011年に住民投票によって独立した南スーダンは、世界で最も若い国です。数十年に渡って続いたスーダン内戦の爪痕を克服していくことが、南スーダン政府には期待されていました。

しかし2013年に内戦が再燃し、現在複数の武装勢力が入り混じる複雑な内戦が展開されています。キール 大統領は、「国民対話(national dialogue)」の実施を呼び掛けていますが、戦闘を繰り返してきた武装グループと政府の和解は簡単ではないでしょう。国連の報告書によれば、今年に入ってからも戦闘が散発的に起きています。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の発表によると、2017年4月の時点で240万人の難民が国外に流失しており、そのうち約92万人が南スーダン南部と国境を接しているウガンダに流入しています。 ウガンダの難民居住区では、難民の流入のペースが速すぎて、必要な物資の供給が追い付いていない状況です。

 

このような状況の下で、非人道的な扱いを受けていたり、居住地に住めなくなったりすることは、「コンフロントワールド」がビジョンに掲げている「不条理」と呼べます。筆者が考える不条理とは、自らの意思ではない形で苦しむ人々がいること、そしてそのような状況に対して自分が無力であることです。内戦を即座に解決することは出来ません。しかし「コンフロントワールド」は、長期に渡って内戦の被害を受けた人々に寄り添っていく覚悟です。

 

それでは、そもそも難民とはどのような人々を指すのでしょうか。

 

難民問題を語る上で、「難民(の地位に関する)条約」は、国際社会の取り組みの基礎をなしており、欠かすことは出来ません。現在の「難民条約」では、難民を以下の三点を満たす人物と定義しています。

 

 

1)「人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」者

2)「国籍国の外にいる者」

3)「国籍国の保護を受けることができない、又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの」及び「常居所を有していた国の外にいる無国籍者であって、当該常居所を有していた国に帰ることができないもの又はそのような恐怖を有するために当該常居所を有していた国に帰ることを望まない」者

(一部加筆)

 

 

簡単に言えば、難民の要件とは、「何らかの理由によって、居住していた国に滞在出来なくなった」ことと「居住していた国の外にいる」ことの二点に集約されます。

 

前者の定義をよく見れば解ることですが、難民条約の作成時には、武力紛争によって生じる難民や、自然災害・海面上昇によって生じる難民は想定されていませんでした。特に武力紛争によって生じる難民については、難民条約ではなくUNHCRの内規が、支援の根拠となっています。

 

後者の定義は、「国内避難民(IDPs:Internally Displaced Persons)への対処が軽視される懸念を生んでいます。国内避難民とは、住んでいた地域での居住が難しくなったものの、国境を越えられていないために、難民として扱われない人々を指します。日本国内においても、震災や豪雨などで住まいを離れることを余儀なくされた人々や、原発事故によって避難を余儀なくされた人々 は、国内避難民と呼べます。

難民問題のみならず、国内避難民問題にも対応しているUNHCRが発行した上記の資料によれば、2017年3月時点における南スーダンの国内避難民は、190万人に上ると推定されています。 

 

国内避難民に対しては、国連とPKO(国連平和維持軍:Peace Keeping Operation)も対処を迫られています。PKOは従来、停戦監視が唯一かつ主要な任務でした。しかし独立当初から南スーダンに駐留しているUNMISS(国連南スーダン派遣団:the United Nations Mission in South Sudan)のマンデート(任務)には、「文民の保護」と「人権のモニタリング・調査」、「人道支援の環境創出」が含まれています。

 

難民には大きく分けて三つの選択肢があります。一つ目が居住国への帰還。二つ目が受け入れ国での定住。三つ目が第三国での定住です。内戦が長期化し居住国への帰還が望めない状況では、難民は受け入れ国での定住、もしくは先進国を中心とする第三国での定住を迫られます。日本での難民申請者は右肩上がりで増加しており、2016年には1万人を越えました。彼らを人道的に扱うことも、日本を始めとする国際社会に求められる義務です。

どんな人にとっても、言語や文化の異なる異国で生活の糧を得て自立を勝ち取っていくのは簡単ではありません。受け入れ国での定住であろうと、第三国への定住であろうと、難民に対する適切な自立支援が求められます。

 

 

文責: 広報ファンドレイジング局 高橋